えんもたけなわ

他愛もないことを、ああでもない、こうでもないと

就活で「11本目の指」と答えたら内定もらった

 

自分の体の中で一番好きな部位はどこ?

という質問に皆さんは直ぐ答えられますか。

 

はじめまして。

焼き肉大好き、えんざんです。

 

焼肉は好きですが、今回扱う部位とはカニバリズム的意味ではなく、純粋に愛を持っているか、自信があるかどうかのお話です。

 

「俺はこの見事に割れた腹筋だぜ!」

「私はこの豊満な胸よ~!」

 

という魅力的な人々や、

 

「なんでも切り裂く無敵の爪だ」

「すべてを飲み込む強靭な胃袋だぞ~」

 

という魅力的な人外の方々まで、様々なアンサーがあることでしょう。

私もそんな魅力的な皆さんが大好きですよ。

 

さて、そんな私はというと…

 

11本目の指

 

です。

一体どういうことかというと、

実は私左手の指が6本ありまして。

 

…半分冗談です。

今から24年前、私がこの世に生を受け、母の体から飛び出した時、私の左手には親指が2本生えておりました。

 

多指症という疾患です。

 

どんな疾患かといえば、読んで字のごとく。確率で言えば、

1000~2000人に一人の割合で生まれてくる

とのこと。やったぜ!ラッキー!

 

有名人だと、あの豊臣秀吉も多指症だったそうです。

 

現在では出生時に指が多くても、1歳前後まで様子を見てその後手術により切除など行われるそうで、私もその例外ではありませんでした。

 

しかし、それには両親の苦悩もありました。

 

昔話

私の両親は二人とも芸術職であるために、指が多く生まれてきた私を多少のショックの反面「息子は左手に親指が2本ある、だけれどそれはこの子の個性。切除するかは将来の息子が決めるべき問題。」と前向きに受け止めてくれていました。放っておいても問題なかったし。(勿論ケースによりますが)

 

しかし、そんな考えも束の間。

私の出生による親類への挨拶回りでは、奇形への偏見を避けるために私の手には常に布を被せていました。

 

さらに「切除を自分で決められる歳になるまでに、いじめがあるんじゃないか」と両親は考えるようになりました。

 

後に母からこの葛藤を聞いたときは、両親からの愛を感じたり、苦悩も感じたりと複雑な心境でした。親ってすごいです。

 

こうして私は生後8か月にして、自らの指とお別れをすることになりました。

 

厳密にはお別れをしたというか、形を整えたって感じです。

 

こちらが私の現在の親指

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リトル親指

わかりづらいんですが、親指と手のひらの付け根あたりのところにぷくっとした部分がありますよね。ハリーポッターと賢者の石に出てくる、ヴォルデモートを後頭部に飼っている時のクィレル先生みたいな感じに融合しています。

 

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拡大リトル親指

拡大するとこんな感じです。

横から見たアレみたいなシルエットなのはご愛敬。

 

骨は無いんですけど、関節みたいな節はありますし、何より神経は通っているので触られるとその周りよりも敏感に感じます…ッ…

 

え?あくまで指の腹を触られてるみたいにですよ?
 

余談ですが私の左手にあるこの変なイボ?が、まさか指の名残だったという衝撃の事実を知ったのは20歳を超えた時でした。知った時は正直「やっぱりな」という感じでしたが。 

 

さて、そこから時が経ち、物語は主題である私の就職活動編へ移ります。

 

就職活動編

大学3年生だった私は、就職活動で某A社の面接を受けることとなりました。

 

A社の面接はいたって普通な内容で進んでいきました。

趣味特技は?志望理由は?入社後どうしたい?

 

基本的におしゃべりが得意な私は

(ああ、こりゃ余裕だ~、もう完全に内定いただいたぜ~~~)

なんて、心の中で鼻をほじっていたら

 

あなたの体の中で一番好きな部位はどこですか?

 

 

 

・・・・・・・

 

 

 

!?!?!?!?!?!?!?!?!?

 

 

 

私でもさすがに少々戸惑いました。

 

腹筋は割れていないし、巨乳でもない。

ウルヴァリン顔負けの爪も、グラトニー涙目な胃袋も持ち合わせていない…

 

というかこの質問、女性相手にもしてるのかな。

 

ここまでの思考を2秒で済ませ、とっさに口から出てきたのは

 

「11本目の指です」

 

~5秒くらいの沈黙~

 

 勢いだけで言ってしまったのでその先は何も考えていません。

そこで私はおもむろに立ち上がり、面接官に詰め寄って

 

「皆さん手の指は何本ありますか??

私はここが11本目の指になってましてぇ~」

 

と実演で説明をしました。

加えてこの指にまつわる先述のエピソードなども話しましたね。

 

「親指の’’親’’は親への感謝って意味かもしれませんね!!

ダッハッハ!!」

 

と言ったような気もしますが、言った後の空気に心を握りつぶされて記憶が曖昧なので定かではありません。

 

そしてその後は何事もなく面接終了!

見事この面接はパスし、次の面接の際、前回を担当してくれていた方に

 

「今年の中で一番印象に残った」

 

と言っていただき、同理由でA社の内定をいただきました。

回答一個で内定決まっちゃうんだから、たかが余分な親指と言えど、捨てたもんじゃないですね!いや、生まれて8か月で捨てましたけども!なんつってな!!!

 

こういった話のネタ以外にもいいことは結構ありますよ?

 

1.人間関係の取捨選択の材料

以前お付き合いしていた女の子にこの話をしたところ、「気持ち悪い」の文言さえ出なかったものの露骨に引かれちゃったことがあって、

 

自分が対象でなくとも、ひとと違う特徴がある人に対して偏見を持っている人とは付き合いたくないなって思うようになりました。これは男女かかわらずですね。

 

2.生まれた時の手のサイズをいつでも確認可能!

皆さんは自分が生まれた時の自分のサイズってわかりますか?

 

………ふーん、わからないんだ。ぷぷぷ。

 

私はわかりますよ????????

 

そう、このリトル親指を見ればね!

 

これめちゃくちゃ良くないですか?

私はこのリトル親指があるおかげで、自分の成長をいつでも感じるし、それによる両親への感謝がずっとあります。

 

そして私の将来の夢の一つが、

 

自分に子供ができた時、その子供の手のサイズと自分のリトル親指を比べること

 

です!

 

これは1000分の1を引いてくれた両親から生まれた私だけの特権です!いいでしょ。

 

さいごに

手術をした今、私は手の指は10本です。

 

大げさに話して内定をもらったり、勝手に人選したりでいい様に使っています。

 

この記事の主題はそういった部分でしたが、私にとってのこの親指(痕)は、自分をここまで健康に育ててくれた両親への感謝が詰まっています。

 

 

 

 

 

…ま!でも手の指が11本ある方はぜひ活用してみてくださいね!

 

では。